予想通りに不合理

不合理な例

 

①相対性:ある物事を基準にして考えてしまう。ただこの弱点は比較しやすいものだけで比較をしてしまうということ。

└A、B、B'(Bの劣化版)という三択を用意すると、人間はBに惹かれやすくなる。基準のないAに比べて、BはB'というものと比較して優れていることが分かるから。

└値の張るメイン料理をメニューに載せると、たとえそれを注文する人がいなくてもレストラン全体の収益が増える。

└給料に対する男の満足度は、妻の姉妹の夫より多く稼いでいるかで決まる。

└特価の場合、購買額に占める割引額が多いほど人は動かされる。購買額に占める割引額が低ければ人はそこまで動かされない。

 

②需要と供給の誤謬:最初の決だがその後の決断にのちのちまで余韻を残す。一度慣れしたしんだ金額があるとそこから動かない。

└ランダムな数字をある商品を価格として関連させる。(PCのカタログの横に例えば25ドルと書かせる)すると、その後実際にその商品をどのぐらいで購入するか聞いたときに最初に書かせた価格の大きさに応じた購入額になる。(アンカリング効果)

└最初の住宅価格になれると、次の引っ越しでもそれ以下の価格へ引っ越すことはなかなかない。

└アンカリング効果を外すには、今までと全く違う環境が必要。例えばスターバックスは他のコーヒーショップと比べて商品金額は非常に高いが、それはラグジュアリーな空間演出、トール、グランデといった今までにない商品の見せ方、等が可能にしている。(コーヒーSサイズではここまでの高価格な商品は消費者に受け入れられなかっただろう)

└黒真珠がこんなに高くなったのも最初の業者が高価なものとして売り込んだから。

└自己ハーディング:自分の過去の行動を正しいと思い込み、同じ行動をとり続ける心理現象のこと。例えば、私の場合はタイ古式マッサージがそう。別の店をいくつか開拓してもいいはずなのだが、前に行ったところがある程度の満足感をもたらしてくれたら次を開拓しない。次回以降も同じ店に行ってしまうこと。

★私たちが今まで行ってきた決断は、実際には十分に吟味されたものではなく、最初の決断に影響されたものだった可能性がある。最初の決断が仮に正しかったとしても、その後に行う決断が同じ条件でない可能性もある。自分の決断は都度充分に吟味する必要がある。

★需要=私たちが支払ってもいいという金額はアンカリングによって影響される。そして需要側のアンカーは、業者の希望小売価格、広告価格、マーケテイング等の供給側の変数によって決まる。

 

③ゼロ・コスト:人間は無料に引っ張られる。

└定価20ドルの商品が10ドルに売られている。一方で定価5ドルの商品がただで売られている。実験の参加者はどちらかしか選べない。経済学的便益が高いのは前者だが、多くの人は後者に惹かれる。無料だからこそ絶対に損しないという魔力が備わっているように映るのだろう。

└無料で10ドルのアマゾンギフト券を得るのと、7ドル出して20ドルのアマゾンギフト券を得るのではどっちがいい?

└買い物の一部を無料にする。例えば電気自動車を普及させたいなら、登録や車検の手数料を無料にしよう!

④社会規範と市場規範について

└社会規範の価値観に市場規範の価値観が流入すると、社会規範が崩れてしまう。

└よく言われるのが保育園の延長の例。ある保育園で子どもを時間通りに迎えに来ないという保護者が多くいた。そこでその保育園は罰金性を設けた。そうするとどうなったか。保護者はお金を払うことで子どもを多く預ける正当性が得られたため、一層延長手続きを行うことになった。お金を払わされていない環境下だから親は子供を延長して保育してもらうことに罪悪感を持ち、できるだけ時間通りに迎えに行っていたのだ。しかもこの話の最悪なところはその後この罰金性をなくしても、この社会規範は戻らなかった。

└英語科目やPBLの手当もそう。市場原理を導入してしまうと、社会規範が崩れてしまう。助けてほしいという形でお願いしていたほうが良かった。

└企業は最近市場原理、市場の規範で行動しようとしすぎている。