Life Shift2

Life Shift 2=人生の長寿化とテクノロジーの高度化の中で考える新たな人生の作り方

 

私たちは、社会の高齢化に対応する年金制度や社会制度ができていないからこそ、本来喜ぶべき人間の長寿化という素晴らしい現象を歓迎できていない。人生の長期化により、私たちの人生は今までの3段階制(勉強する、社会で働く、リタイアする)から、マルチステージ化される。社会に出た後、働いている間に勉強することや、大学を出た後卒業せずに1年間程度リタイアするという人生も考えられる。

 

・人間はどうしても「今」を大切にしすぎる。今を起点にして直近の過去と未来を重要視してしまうが、本来70年続く人生を鳥瞰して生きるべき。

 35歳:第一子が生まれる

 38歳:第二子が生まれる

 40歳:大学院へ入学

 

・所得が高いと人生の充実感は高まるが、幸福感は所得が$75,000を超えると高まらない。

・人生の満足感を左右するのは暖かい人間関係である。

・資本主義社会に生きると、時間にではなくお金にばっかり気を取られる。しなければならないことでなく、自分がしたいことに集中して生きる。

ダライ・ラマ14世=人間は、お金を稼ぐために健康を犠牲にする。そしてそのお金を犠牲にして健康を取り戻そうとする。人間は、将来を心配しすぎて今を楽しまない。結局、今を生きていないし将来にも生きていない。あたかも死が訪れないかのように生き、そして本当に生きることをしないまま死んでいく。

 

・人生の序盤にすべての教育を行う必要はない。また序盤で行う教育は土台的になものになる。今までの教育は知識を伝授し、それがどのぐらい備わっているか確かめる形態。今はインターネットに情報があふれている(今まで人生が紡いできた言葉以上の情報量がネットにある)知識は豊富にあるのだ。スキルとそれの実地に生かす学習者への転換が求められる。

・子供の内から必要な情報を見つけ、曖昧で不確実な状況に対処し、発見したことを分析評価して、問題解決をする力。テクノロジーは進歩し続けている。人々は長く働かなければならない。

・新たな時代で必要な能力は批判的思考と仮設能力だけではない。テクノロジーの進歩により知識が不要、また単純な業務が自動化されていく中で、必要となるスキルはコミュニケーション、チームワーク等の対人関係力。テクノロジーが進歩すればするほど、人間的な能力が求められるようになる。

・大人への教育を行う上で不可欠な要素。学習者の設計と評価に学習者が関わること。学習者が学習者が実践を通じて学べる事。学習者の仕事や私生活に実際に役立つこと。

・生涯教育を受ける世の中になっていくと、大学の在り方は学位を形式的にもたらす機関から、科目等の小さな区分で教育を提供する機関へと変容する。小さな区分での学修を積み重ねることで段階的にスキルを伸ばしていくスタイルに代わる。

・スペンスのシグナリング理論:ノーベル経済学賞を受賞したマイケル・スペンスによってはじめて分析され、高等教育が労働者の生産性に何ら影響を及ぼさないとしても、企業がその労働者に対して、高賃金を支払うことは合理的であることを示した。しかしこの見方によれば、教育は社会的な浪費となる。なぜなら、教育を受けたとしても、生産性に影響を与えることはないのにもかかわらず、学生や学校関係者の社会的資源を使ったのだとすれば、それだけ無駄が生じたことになる。これはあまりにも極端な見方であるが、生産性に影響を与えると仮定したとしても、シグナリングは社会的な利得はなく、費用がかかってしまうので、やはり教育に対しての過剰投資となってしまう。

・情報の非対称性:各取引主体が保有する情報に差があるときを指す。例えば「売り手」と「買い手」の間において「売り手」のみが専門知識と情報を有し、「買い手」はそれを知らないというように、双方で情報と知識の共有ができていない状態のことを指す。

・UBI(ベーシックインカムの導入):UBIの導入により、人々は目先の生活のためにお金を稼ぐのではなく、長期的な視野でのキャリア形成やリスクの低くない起業といった選択肢がもたらされる。ただ一方で働く意欲が低下するのではないかという理論もある。予算の問題もある。既存の生活保障が手厚いと比較的新たな財源は必要となりづらい。

・ギグエコノミー:非恒久業態の一つ。フリーランスなど単発な業務を請け負いながら仕事をするスタイル。

・ナッジ手法とフレーミング効果については勉強が必要。

・フレシキュリティ:フレキシブルとセキュリティの造語。柔軟な労働市場を指した言葉で、企業が労働者を解雇しやすくしながらも、労働者へのセーフティネット(再雇用のための支援等)が用意された市場。今後一つの企業で恒久に働くことが少なくなっていく中で、人材の適材適所化、また能力のアップデート化が社会的に支援された社会のこと。

コーホート分析:将来の医療技術向上までを考慮して、平均死亡率を捻出する計算式(ピリオド分析はあくまでも現時点の医療技術、現時点の平均死亡率をベースにしている)

・高齢者がさらに働くようになっても、若者の雇用は減らない。女性が社会進出したときと同様に世帯での収入が高まることがさらなる消費活動と経済の需要を生むから。

・高齢者のマネージャー程第一印象を重んじず、相手に配慮が感じられた。全般的に共同思考が高いのが高齢者のマネージャー。テクノロジーの高度社会で必要な能力が備わっている。

・女性社員の長期雇用:仕事の世界での不平等の本質は家庭の中での不平等が起因している。女性は男性に比べて家庭に関わる労働時間が多いために、仕事にフルコミットができない。つまり男性がさらに家庭にコミットするような制度を設けることが、女性の長期雇用化や収入増といった仕事での不公平感を軽減させる。

・老年従属人口指数とは、一人当たり何人の65歳以上の高齢者を支援するかを表した指数。現状は高齢化に伴い、老年従属人口指数は高くなっている。つまり負担は増えている。が、年齢インフレ(今後高齢者が働いていくこと)を前提にすると、少なくともアメリカでは指数が低くなっている。